平成の名水百選(清左衛門地獄池湧水)
清左衛門地獄池が「平成の名水百選」に選定されました

南足柄市は「金太郎のふるさと」として知られ箱根外輪山東山麓には湧水群や自噴井戸群が広がっています。この地域を代表するのが良質で豊富な水量を有する「清左衛門地獄池」の湧水で主に工業用水として利用されています。また、地元住民による周辺環境の整備活動が活発に行われていて、池を巡る散策路や池の水を利用した高さ5メートルの滝など湧水公園が整備されています。
この湧水は、昔、昔、この地域が水不足で農地が荒れていたが、清左衛門という人が水源をさがしにここまで来ると乗っていた馬もろとも地中深く落ちこんでしまいました。そして、そこから勢いよくたくさんの水が湧き出し、村人は飲み水、水田の用水に困らなくなり、それからは土地の人が行って「清左衛門」、「清左衛門」と呼ぶといっそう勢いよく水が湧き出してきたという話が伝わっています。
保全活動に取り組む狩野厳島神社役員代表にお話を伺いました

奥津憲仁さん
清左衛門地獄池及びその周辺の保全活動に取り組む狩野厳島神社役員代表の奥津憲仁さんにお話を伺いました。(取材日:令和7年6月26日 以下、奥津さん談)
平成20(2008)年に清左衛門地獄池が『平成の名水百選』に選ばれたことに対し、当時の神社役員は「長年、先人たちがしっかり池やその周辺を保全、管理してきた賜物と思う」とその喜びを書き残しています。
また、池に隣接する弁財寺には御詠歌の一節として「べんざいぢ ふかきめぐみわ わくいずみ みだのりやくに おいけかがやく」の額が飾られています。
このように狩野に住む人たちが、池そのものや先人たちに感謝の気持ちを持ち続けるのは、冒頭(平成の名水百選に選定)にもあるように、池が狩野地域の田畑を潤し、生活用水としても、まさに「恵み」をもたらす湧水(財産)であったことに由来します。
そして、今なお多くの地域の関係者(私たち神社・寺の関係者や富士フイルム、狩野の延寿会の皆さんなど)それぞれが池の「恵み」に感謝し、池の周辺の草刈りや草むしり、池の清掃、神社や寺周辺の清掃作業を、それこそ毎週のように続けています。また、池が「平成の名水百選」に選ばれたり、箱根ジオパークのジオサイトに認定されたりした以降は、市内外から訪れる多くの方々にも「来てよかった」と感じていただきたいという思いもあります。
子どもの頃は、池やその周辺の広場、水路でよく遊んだものですが、池が狩野地域にとって、こんなに大きな「財産」であることを認識したのは、大人になって先輩に教えてもらってからです。少子化、高齢化が進む中で、いかにしてこの環境や景観を維持していくのか、また、いかにして池の恵みを感じてもらい、池の存在の大きさを永く次世代に伝えていくのか、その難しさを感じます。
今年、池の案内板が新しくなりました。訪れる方々にもきっと喜んでもらえるものと思います。これからも市と地域が連携しながら、長い歴史を刻み自然の豊かさと調和する池とその周辺の魅力をより多くの方々に伝えていけるよう取り組みを進めていきたいと考えています。
清左衛門地獄池の案内板が新しくなりました!
清左衛門地獄池へのアクセス
鉄道の場合
伊豆箱根鉄道大雄山線「富士フイルム前駅」下車徒歩約20分
自動車の場合
東名高速道路から/東名高速大井松田インターより大雄山方面へ約20分大雄橋左折直進後、かどや酒店右折道なりで約1分
小田原方面から/県道小田原・山北線狩野交差点左折して直進、久保入口左折して直進後、かどや酒店右折道なりで約1分